今年10月にスタートするインボイス制度では、免税事業者に業務を発注すると消費税負担が膨らむことになる。
仮に免税事業者から110万円(うち消費税10万円)で仕入れた商品を220万円(うち消費税20万円)で販売したとする。このとき納める消費税額は、従来であれば販売時に受取った20万円から仕入れ時に支払った10万円を差し引いた残りの10万円でよかった。
しかし、インボイス制度開始後には免税事業者からの仕入分は差し引けなくなるため20万円全額を負担しなければならない。制度開始後6年間は最大8割まで控除できる経過措置が設けられるが、当然ながら措置が終われば発注業者の全額負担となる。
ただ政府は、インボイス制度を理由に免税事業者との取引内容を見直すことについて「独占禁止法や下請法の違反にあたるおそれがある」とけん制している。
違法になる取引見直しの6パターン、免税事業者に対し
①取引対価の引き下げ
②商品・役務の成果物の受領拒否・返品
③協賛金等の負担の要請
④購入・利用強制
⑤取引の停止
⑥インボイスを発行できるよう課税事業者に転換するよう強いること
が独占禁止法や下請法の違反行為にあたる可能性があるとしている。
独禁法上の違反行為が発覚すると課徴金や社名公表など行政処分の対象となり、当局から「悪質な事例」と判断されてしまえば法人に最大5億円の罰金、個人に最大500万円の罰金や最長5年の懲役が科せられます。
さらに今後は、2023年4月に成立した「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」によって規制の網が広がっていく。
一人親方や配達員、システムエンジニアなど個人で業務を請け負う「フリーランス」が不当な扱いを受けないよう、取引上の立場の強い発注者に一定の配慮を義務付ける新ルール。
・業務内容や報酬額を書面やデータで提示する義務
・成果物を受け取ってから60日以内に報酬を支払う義務
・一方的な業務内容の変更や報酬の減額の禁止
などを定めている。
違反が発覚した事業者には50万円以下の罰金や社名公表といった罰則があるとのこと。
コメントを残す