事業承継と MBO、MBI、M&A

少子高齢化が進む中、多くの中小企業では経営者が高齢化し、経営能力の高い後継者を見つけることが難しい状況にあります。既存の社員は、技術力はあっても、マネジメント力があるとは限りません。

また、多くの中小企業では、オーナー社長自らが株式の大半を所有していることも多く、経営の承継だけでなく、オーナー社長が保有する株を誰に承継させるかという問題もあります。

こういった企業では、以下のような選択肢があります。
・家族や親族に株を買い取らせ経営者になってもらう

・会社の役職員に株を買い取らせ経営者になってもらう(
MBO
・社外の経営のプロに株を買い取らせ経営者になってもらう
(MBI
・他の会社に自社を買収・合併してもらう(
M&A

中小企業白書 2018 年版によると、経営者が 60 歳以上である場合、48.7%(約 5 割)が後継者不在であるとしています。後継者不在の中小企業は売り手として M&A(事業譲渡等)することが多くなっています。

M&A の目的として事業承継を挙げる企業は、後継者がいる企業では 52.5%であるのに対して、後継者がいない企業では 70.0%とより高い割合となっています。なお、後継者がいない企業では、M&A の目的として事業承継を挙げる企業の割合が最も多く、次に従業員の雇用の維持(58.5%)となっている。

信用金庫の M&A 支援実績では 2009 年の 36 件、そのうち事業承継にかかるものは30 件でがしたが、2016 年では支援実績 342 件と約 10 倍に増加しており、そのうち事業承継にかかるものも 156 件と 5 倍超に増加しています。

中小企業経営者の高齢化に伴い、地域金融機関の中小企業に対する M&A 支援へ取組が積極化しています。事業承継を目的とした M&A の増加傾向は今後も続くものと思われます。